この記事では、アドラー心理学の「 共同体感覚 とは ?」、「共同体感覚を高める方法」について解説しています。
- 人間関係の課題
- 自己理解や自己成長
- 自身のコミュニティの課題、問題解決
アドラー心理学の創始者”アルフレッド・アドラー”は、「すべての問題は人間関係の問題である」と説いていますが、私自身もそうであると実感しています。
人間関係とは縁遠い印象のある「お金」も、結局は人間関係が成立した上で「収入」として発生しており、人間関係(信用の有無含む)無しでは語れないからです。
人生を豊かにするためにも、「共同体感覚」を養う事は、とても有益であるため、この記事で「 共同体感覚 とは ?」についての理解を深めましょう。
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本記事の構成(=もくじ)
アドラー心理学の「共同体感覚」とは?
アドラー心理学における「共同体感覚」という概念は、人間が社会と調和して生きていくための感覚を指し、社会的な存在としての健康的な人間性の中心だと考えています。
共同体感覚は、「個々の人間が孤立した存在ではなく、他人と深く関わり合いながら生きる社会的な生き物である」というアドラーの人間観から来ています。
この感覚が発達している人は、他人と協力して問題を解決する能力があり、自己中心的な行動を控え、他人の視点から物事を考えることができます。
また、アドラー心理学では、共同体感覚の欠如が心の問題や対人関係の問題を引き起こすと捉えています。
例:チームワークを重視しつつも個人の時間を大切にしたいAさんの悩み
私は職場メンバーと協力して仕事を進めること自体は大好きなのですが、勤務時間以外は職場メンバーと行動することを嫌う傾向が高く、仕事帰りに酒場や食事に向かうことを避ける傾向が高いです。
また、地域の活動やボランティアよりも家族との時間を優先するため、そのような行動をしたことがありません。
この場合、共同体感覚は低いということになりますか?
共同体感覚は、他人と協力して行動することや社会参加だけでなく、他人への理解や共感、自己反省といった要素も含んでおり、必ずしも全ての時間を他人と共有することを意味するわけではありません。
あなたが仕事において他人と協力することを好むという点は、共同体感覚が高いことを示しています。
また、家族との時間を大切にするというのも、家族という小さな共同体に対する貢献と、その人の価値観やライフスタイルによる選択であり、それが共同体感覚とは直接関連していないと考えられます。
仕事の後に酒場や食事に参加しないという選択も、自己管理やプライバシーの保持、自己時間の確保という観点からは理解できます。
共同体感覚は、社会や他人とどのように関わるかということだけでなく、どのように自分自身を理解し、自分の行動が他人や社会にどのような影響を与えるかを理解する能力も含んでいます。
そのため、あなたが述べた行動から共同体感覚が低いと判断することは適切ではないと考えられます。
共同体感覚が高い社会と、低い社会の違いは?
共同体感覚が高い社会と、そうでない社会では、社会全体の雰囲気や行動の傾向が大きく異なる可能性があります。
共同体感覚が高い社会
個人が他人との協働を重視し、社会全体の福祉や利益を考える行動をとりやすいです。
これは、他人を理解し、尊重するという視点が根付いているためです。
その結果、社会全体としては「協調性が高く、対人関係のトラブルが少ない、公平性や平等性が重視される」といった特徴が見られるかもしれません。
共同体感覚が低い社会
個人が自己中心的な行動をとる傾向が強まり、対人関係の摩擦や社会的な不公平が生じやすくなります。
また、他人との連携や協働を重視しないため、個々人の成功や失敗が強調され、競争社会となりやすいとも言えます。
ただし、これらはあくまで一般的な傾向であり、実際の社会はさまざまな要素が複雑に絡み合った結果となります。
共同体感覚が不足している場合、どのような問題が起こりますか?
共同体感覚が不足している場合、様々な問題が発生する可能性があります。
具体的な問題点を下記にまとめましたが、これらの問題は個人や社会全体で共同体感覚を育てることで、緩和または解決することが可能です。
- 対人関係の問題
他人への理解や共感が欠け、人間関係の摩擦が生じやすくなります。また、他人の視点や感情を考えることが難しくなり、コミュニケーションにも支障をきたす可能性があります。- 自己中心的な行動
自分の利益しか考えず、他人や社会全体のことを顧みない自己中心的な行動をとる可能性があります。これは社会全体の調和を乱す要因となり得ます。- 社会的な問題
公平性や利他性が薄れ、社会的な不公平や差別が増える可能性があります。また、競争主義が強まり、弱者が見捨てられるような社会になる可能性もあります。- 心の健康
孤立感や孤独感を感じやすくなることもあります。これは、ストレスやうつ病などの心の健康問題を引き起こす可能性があります。
共同体感覚を高めるためには、どのような取り組みが必要ですか?
共同体感覚を高めるためには、以下のような取り組みが有効とされています。
以上の取り組みにより、共同体感覚を高めることができます。
ただし、これらの取り組みは一度で結果が出るものではなく、長期的な視点で続けることが必要です。
- 他人理解の促進
他人の視点や感情を理解することは共同体感覚を育てる基盤です。具体的には、相手の立場や感情を想像する練習、対話を通じた理解、異なる背景を持つ人々との交流などが有効です。- 協調性の育成
チームでの活動やグループワークを通じて、他人と協力して目標を達成する経験を積むことが重要です。自分一人ではなく、他人と協力することの大切さを学ぶことができます。- 社会参加
地域のボランティア活動や社会的なイベントへの参加などで、自分が社会の一部であるという意識を強めることができます。- 教育
子どもの頃から共同体感覚を重視する教育を受けることで、他人を尊重する態度や協調性を重視する価値観を教育の中で教えることが重要です。- 自己反省
自分の行動が他人や社会にどのような影響を与えるかを考える時間を持つことも大切です。それにより、自己中心的な行動を見直し、他人や社会を考える行動に変えることが可能になります。
共同体感覚を高めるポイントとは?
共同体感覚が高まっているかどうかを判断するためのポイントは以下のとおりです。
- 他人への理解や共感の度合い
- 協調性やチームでの作業能力
- 社会参加の度合いや積極性
- 自分以外の人々や社会全体への配慮の度合い
- 自己反省や自己評価の能力
共同体感覚の有無や習得度がわかるチェックリスト
それぞれの項目について、1(全く当てはまらない)から5(非常に当てはまる)までのスコアで評価してください。
ただし、このチェックリストはあくまで一例であり、必ずしも全ての共同体感覚を網羅しているわけではありません。
個々の文化や環境によって共同体感覚の表現は異なるため、その点も考慮に入れて解釈してください。
- 私は他人の立場や感情を理解しようと努力する。(1-5点)
- 私はチームでの作業やグループ活動を好む。(1-5点)
- 私は地域の活動やボランティアに積極的に参加する。(1-5点)
- 私は自分の行動が他人や社会に与える影響を考える。(1-5点)
- 私は自分の行動を客観的に振り返り、反省することができる。(1-5点)
まとめ
簡単に「共同体感覚が高い、低い」と評価することが難しい内容ですが、相手と向き合い、コミュニケーションを重ね続けるだけで、この感覚を養うことが可能です。
決して、自分の意見を押し通すだけでなく、相手の考えや意見、アイディアを引き出し、「自分と相手の間を取る」習慣を作ることさえできれば、大きな財産になる筈です。
もし、「アドラー心理学」についての理解を深めたい場合は、下記の記事が参考になるかと思います。是非、ご覧ください。